2.2 MBAランキングの活用法 - 順位ではなく、動向に注目する!

 

ここまでMBAランキングの中身について紹介しました。きっとここまで見て頂いた方は、既に自分のお気に入りのMBAランキングを見付けているかもしれません。さて、ここからが本題です。ランキングの戦略的な活用の仕方です。えっ、ランキングの使い方って、単純に「各大学のランキング順位の高いか低いを知ることでしょ」と思われるかもしれません。もちろん、その通りなのですが、本サイトのテーマは「いかに効率的に合格を獲得するか」です。その観点からすると、ランキングの使い道は他にもあります。それは「お得に行けそうな大学」をどうやって探すかということです。

 

まずは「お得」または「コスパが高い」という考え方を2つに分けて整理しておきたいと思います。

1つ目は、現時点でのランキングよりも、将来のランキングの方が高くなる(なりそうな)大学に入学できた場合です。日本の大学と同じで一般的にランキングが高いほど入学も難しくなります。そのため、例えば世界ランキング56位の大学に入学し、その翌年49位と7位もランキングを上げた場合、外部からの評価が49位に上昇した一方で、入学当時の入学難易度は56位相当であったと考えられます。これが私が考えた「お得」感です(笑)。ちなみにこれは実際に私が入学したマッコーリ大学の例で、2016年から2017年にかけて起きた事実です。

2つ目は、同じ程度のランキング順位でも、より合格がしやすい大学に入学できた場合です。これは簡単で、同程度の外部評価が得られているにも関わらず、受験勉強量などの「費用」を低減できる可能性が高い方がお得感が高いという意味です。アメリカの大学よりも、最近ランキングが急上昇しているアジアの大学やオーストラリアの大学の方が、このどちらか、または両方に該当する大学を探しやすい気がします。ちなみに、その中でも特に筆者がおすすめなのがオーストラリアの大学です。以降は、この2点についてもう少し具体的にみていきたいと思います。

 

現時点ではランキングが低いが、将来高くなる(なりそうな)大学

それを見つけるには、ある時点や最新のランキング結果を見るだけでは実は不十分です。先ほど述べた通り、私が入学したマッコーリ大学は、2016年の入学時点ではFTの世界ランキング56位でしたが、1年後の2017年には49位になり、7位もランキングを上げました。MBAはビジネススクールだけあって、世界中のMBAが熾烈なビジネス競争をしています。それゆえ、ランキング順位は年ごとに結構変わるということをまずは認識する必要があります。2017年で30位でも1年後に40位に落ちることもあれば、逆に40位だったにも関わらず30位に上がる可能性もあります。そこで、現時点では多少低めのランキングでも、将来上がりそうな大学に(も)着目するのがポイントです。この点は、費用対効果をあげるという話だけに留まらず、意外と多くの受験生が見落としがちな視点だと思います。卒業校が今よりも更に有名になってくれれば、それだけ卒業生としては転職やキャリアアップの際に活用しやすいですよね! では、どうやってそんな大学を探すのか?結局おすすめで簡単にできるのが「過去数年分の動向(傾向)を調べること」です。

 

オーストラリアのMBAランキング順位動向 2010-2024年(FT)(筆者作成)

 

オーストラリアのMBAランキング順位動向 2010-2022年(Economist)(筆者作成)

 

オーストラリアのMBAランキング順位動向 2018-2024年(QS)(筆者作成)

 

上図はオーストラリアMBAの世界ランキング順位の動向を調査した結果です。

まずは上側の図に示すFinancial Times(FT)のランキング順位について分析します。トップ100入りしているのが、AGSM at UNSW Business School(緑)、 Melbourne Business School(青)、MGSM(黄)の3校です。3校とも2015年以前は緩やかな下降(順位が下がる)傾向を示していましたが、その後反転しここ数年間は上昇傾向を示しています。大きな特徴と言えるのが、私が入学したMGSMです。2010年に100位で登場後、一度も100位圏内に姿を現していなかったにも関わらず、2015年以降急に姿を現し、2015年、2016年、そして2017年時点では49位とオーストラリアではNo.1を3年連続で獲得しました。そして私が卒業する2018年まさかのランキング圏内から消滅という事態に遭遇しました。そのため2018年時点でFTにランクインしているオーストラリアのMBAは2校のみとなりました。

次にEconomistのランキングを分析します。途中からCurtin Graduate School of Business(濃い緑)は姿を消すので、注目はThe University of Queensland Business School(橙)、Melbourne Business School(青)とMGSM(黄)の3校です。なお、FTに登場したAGSMがランキングされず、代わりにFTにランキングされていないThe University of Queensland Business Schoolがランクインしていることに注意が必要です。特に注目は、そのThe University of Queensland Business Schoolです。2010年時点でランク81位だったのが、2016年時点で何と10位まで躍進、2017年も多少順位を落としたが16位という高順位を維持しています。なお世界ランキング10位ということは、同ランキング(2016年)で11位のアメリカColumbia Business School、12位University of Pennsylvania – Wharton School、13位のINSEAD、14位UCLA – UCLA Anderson School of Managementよりも上であることを意味しています。さらに、Melbourne Business Schoolは安定して30位前後を維持しています。またMGSMは2010年の64位から2015年には28位まで飛躍し驚かせましたが、2017年には49位に後退しました。Economistに登場する3校は、世界的にも非常に高い位置にいることが分かります。

このように、ある年のランキングだけを観察するのではなく、数年間に渡る動向に着目すると、将来の順位動向を探る大きな手掛かりになるのではないでしょうか。これらの情報が、あなたが目指すMBAを決める上では有益な情報の一になると幸いです。(なお、上図ランキング順位は、同一順位の大学が複数ある場合を考慮しておらず、一部公式値と異なることを予めご了承願います)

 

さらに、FTのランキングについて、2010年から2018年までの全大学(オーストラリアだけでなく100位に入る全ての大学)の動向が分かるページを開設しています。是非参考までに活用してください。

=> FT: Financial Times Global MBA Ranking 2010-2018

 

同じ程度のランキングで、合格がしやすい大学

もし、知名度などによる外部評価が全く同じ東大1と東大2があり、1は超難関、2は難関だったら、多くの人が2を選ぶのではないでしょうか。でも、その後2の方に受験生が殺到すれば、結局2も合格は難しくなり、東大1と東大2は同じ難易度に(理論的には)落ち着くはずです。しかし、実際にはほぼ同じMBAランキング順位の大学にも関わらず、合格の難易度が違うケースは多いのです。理由は簡単で、先ほどから述べてきたように、MBAランキングは受験の難易度(日本大学等で使われているの偏差値のような指標)だけで決まっているわけではないからです。例えば、US Newsのように、ランキングを決める評価基準に平均GMATとGRE、平均GPAなど入学時の採点項目を入れているランキングもあれば、FTのようにそうでないランキングもあります。さて、MBAランキングで志望大学を絞りつつ、同時に入学の難易度で大学を選別し、「ランキングは高い、かつ合格できそうな大学」を選別していくにはどうしたら良いでしょうか。実はアメリカMBAの場合、そうした情報を分かりやすく整理してくれているサイトがいくつかあります。しかし、オーストラリア版はないかと探してみたのですが、私が知る限り分かりやすくまとまっているサイトは見つけられなかったため、無いなら、自分で作ってみよう!ということで、私なりにオーストラリアの大学の難易度(GPA、TOEFL、IELTS、GMAT)と世界ランキングとの関係をまとめたのが下表です。オーストリアの主要な10校について調べたもので、調査は2018年3月時点のものです。情報はよく更新されることがあるので、この表はあくまでも参考程度に活用ください。

オーストラリアの主要10校のMBA入学条件(GPA、IELTS, TOEFL, GMATなど)

MBA School
GPATOEFL (Min)IELTS (Min)GMAT (Min)GMAT (Average)
1Melbourne Business School?1027.0必要(点数は?)705
2AGSM at UNSW Business SchoolNo specific947.0550655
3UQ Business School, University of Queensland4.5 over 7876.5550550 (QS)
4MGSM, Macquarie University5.0 over 71007.0--
5Griffith Business School, Griffith University4.5 over 7796.5-
(550)
-
6Queensland University of Technology4.5 over 7906.5550?
7Adelaide Business School, University of Adelaide-947.0-
(550)
-
8University of South Australia Business School-796.5--
9Bond Business School-796.5--
10Sydney Business School, University of Wollongong-886.5--

なお、- となっている項目は、それに該当する内容や基準が発見できなかったものです。そのため基準がないとは言い切れません。詳細はやはり入学申し込み時に詳細を問い合わせて確認する必要があります。またここに記載したのは基本的なケースであり、例えば、大学院を卒業していた場合はそれを実務経験にカウントできたり、GPAが条件を下回っていてもGMATがある点数以上あればOKなど、細かい条件は記載していません。最新情報の確認のためにも必ずご自身でのチェックをお願いしたいと思います。

 

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