2 MBAの効果とは?
次に、費用対効果の効果についてみていきたいと思います。MBA取得で得られる便益が「効果」でしょうが、まず簡単に数値化できるものではないです。例えば、ある人にとっては「上がった年収の率」かもしれないし、「新しい就職先の見つけられること」、「同じ志を持った友人を得ること」、またある人はMBAという「ステータス」かもしれないからです。多くの人が指摘するように、MBAに求めるものは、「より高い年収」、そして「より広範な人的ネットワーク」でしょうが、それだけでもないと感じます。そもそもMBAは大学院の1つのコースであるものの、授業の形式とその目的が一般的な大学院とはかなり異なり(外から見ると)何を学べるのか自体を把握しにくい学問かもしれません。そのため、MBAについて少し回り道かもしれませんが解説します。
下表にMBAと一般的な大学院との違いを簡単にまとめてみました。様々なハードスキル(知識や論理体系)は、あくまでも意思決定を行う土台であり、MBAの目的はそれらの知識を活用して実際の企業や組織内で意思決定を行う「訓練」により近いと思います。そのため、知識そのものよりも、その訓練を行う場の雰囲気(環境)、周りのメンバーの質や多様性、プロセスの進め方などの方がより重要な要素となります。これは、ウェブサイトを眺めているだけではなかか分からない内容です。
MBAと一般的な大学院の違い(筆者作成)
MBAの目的 | 一般的な大学院 | |
目的 | 意思決定を行う訓練 | 専門分野の高度な知識の習得 |
講義形式 | ケーススタディー、チームワーク、討論 | レクチャー形式 |
教授と生徒、生徒間の関係 | 相互的(教授は講義をうまく導く、生徒も授業に貢献する) | 一方的(教授が生徒に教える) |
つまりMBAの効果を計測することは、費用を計測する以上に極めて困難なことです。しかし、そんな中とても役立つ指標が存在します。MBAで得られる効果を客観的な数値で表したもっとも信頼できる指標の1つ、それが「MBAランキング」と私は思います。つまり、「効果」≒「ランキングの順位」と考えれば大まかに評価できます。なぜそのように考えられるのかは、次項の「ランキングの基本」で説明したいと思いますが、簡単に言うと、ランキングの高い評価のMBAに入ることができれば、それだけ多くの人から評価されているわけですから、自分が得られるだろう便益も高くなる「可能性」は高いだろうと推定できるということです。さて、ここからが本番です。じっくりそれを裏付ける根拠や証拠を明らかにしていきたいと思います。