3.3 オーストラリアMBA受験前に押さえておきたい5つの重要ポイント -アメリカMBAとの比較
もうオーストラリアのMBAに決めた?あなた。ここでは私がアメリカMBAからオーストラリアMBAに受験先を変更した際に感じた「受験前に知っておくべきポイント」を5つ挙げたいと思う。というのも、アメリカMBAの情報(専門学校、サイト、ブログ、受験者同士の情報交流等も含め)は比較的豊富で入手しやすかったが、オーストラリアMBAとなると途端情報量が少なくなり、特に私のように急遽アメリカからオーストラリアMBAに変更した人にとっては、受験プロセスの違いに戸惑うことも多いと思う。では早速、オーストラリアMBAのポイントをいくつか紹介していきたいと思う。
ポイント1: 「留学エージェント」を通して出願する!
まずアメリカMBAの場合、出願する際には大学のMBAのWebページにいってAdminissionやApplicationのページで自分のアカウントを作ることから始まる。そのポータルに、必要書類(申し込み用紙、エッセイ、成績表、CVなどなど)を随時アップロードしていく。通常1ラウンド、2ラウンド、3ラウンドなどと複数回の締め切りが設けられているので、その締め切り日までに全ての書類を提出完了すればそのラウンドでの登録は完了である。すると大学側から申し込み書類の確認作業をしています、などというメールが送られて来て、その後「面接に進みますので・・・・してください」、というようなメールが来たらほぼ合格という感じだ。不合格の場合は、面接の前に「残念ながら今回は・・・・」という感じのメールが届く。重要なことは、アメリカMBAでは、これら一連のエントリー作業を出願する大学ごとに「自分で」行うことが普通だ。もちろん、出願書類の内容の推敲や添削などはアゴスなどの予備校が行なっているMBA出願サービスを利用することが多いと思うが、最終的な提出自体は自分で行うことが基本のように思われる。私は、オーストラリアでも全く同じだと思っていた。しかし、実はオーストラリアでは自分でエントリーするのはではなく、留学エージェントを通して行うのが一般的である。留学エージェントの活用については、後のページで詳しく述べたいと思うが、とにかく自分で提出する前に、必ずどこから留学エージェントを探すことから始まるのだ。私の場合は、第一志望として「MGSM, Macquarie University」、第二志望として「Bond Business School」を受験して、その後どちらからも合格を頂いたが、両方とも留学エージェント経由で申し込んだ。そのため必要書類は一旦全て留学エージェントに送って、合否結果もエージェントから連絡をもらった。留学エージェントを活用するということをまずは覚えておいて欲しいと思う。
ポイント2:TOEFL / IELTS / GMATなどのスコアは必達点!
これも私は最初全然知らずにかなり驚いた。アメリカMBAの場合、出願に必要なTOEFLやIELSの最低点数が明示されていることが多い。しかしながら、私のようにTOEFLの点数が不足している人でも、「エントリー自体はできる!」場合があるのがアメリカである。私の場合、アメリカMBAではTOEFL最低点数を下回っていたが出願し、合格までいったものもある。これが可能なのは、エッセイ、推薦状、学歴や職歴、大学自体の成績など、TOEFL以外の選考基準を加味してくれる場合があるからである。そのため大学が求めている最低スコアよりも(若干)低い場合でも、出願できるし合格できるチェンスがあるということである。GMATの場合には特に最低基準を設けていないところも多いので、合格者の平均点よりも悪くても合格できる可能性は十分に残されている。そして私は、オーストラリアの場合も同じだと思っていた。しかし、オーストラリアの場合、極端な話、1点でも下回っていれば出願に進むことができないことを知ったのである。問答無用で出願不可能!という感じになる。私も1-2点くらい大丈夫だろうと考えていたのだが、痛い目にあったのである。再度掲載しておくが、下の表で示している入学条件のスコアは、全て「必達点」である!
MBA School | GPA | TOEFL (Min) | IELTS (Min) | GMAT (Min) | GMAT (Average) | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | Melbourne Business School | ? | 102 | 7.0 | 必要(点数は?) | 705 |
2 | AGSM at UNSW Business School | No specific | 94 | 7.0 | 550 | 655 |
3 | UQ Business School, University of Queensland | 4.5 over 7 | 87 | 6.5 | 550 | 550 (QS) |
4 | MGSM, Macquarie University | 5.0 over 7 | 100 | 7.0 | - | - |
5 | Griffith Business School, Griffith University | 4.5 over 7 | 79 | 6.5 | - (550) | - |
6 | Queensland University of Technology | 4.5 over 7 | 90 | 6.5 | 550 | ? |
7 | Adelaide Business School, University of Adelaide | - | 94 | 7.0 | - (550) | - |
8 | University of South Australia Business School | - | 79 | 6.5 | - | - |
9 | Bond Business School | - | 79 | 6.5 | - | - |
10 | Sydney Business School, University of Wollongong | - | 88 | 6.5 | - | - |
ただし、TOEFL / IELTS などの点数が不足の場合には、大学指定の語学学校などで一定以上の成績で合格することを条件として入学させるいわゆる「パスウェイ」というのも存在する。これについては、後ほど詳しく説明したい。
ポイント3:「オーストラリアの大学はIELTS」は嘘!
英語に関してもう一点は、「オーストラリア=IELTS」と思っている人は、留学生でも意外と多い。しかし、実はそんなことはない!英語力の判定で使われるもので日本人に有名なものに、TOEFL(念のため確認だが、TOEICではない)とIELTSがあり、基本的には、TOEFLはアメリカ大学向け、IELTSはイギリスやオーストラリア大学向けである、と教わるはずである。私も完全にそう考えており、恥ずかしながら、そんな基本すら知らずに途中からIELTSに切り替えて勉強したこともあるし、実は一度受験もした。しかしオーストラリアの大学も、アメリカMBAと同じようにほとんど全てでIELTSだけではなくTOEFLも認められており、つまり、どちらのテストも受け入れられるのである。結論は、オーストラリアならIELTSと決めつけず、どちらが自分にとって点数が取れそうか比較してから勉強をはじめるべきである。
ポイント4:「マネージャーとしての」実務経験年数が必要!
次に取り上げたいのが、必要な実務経験年数である。アメリカMBAの場合、単に必要な実務経験年数が要求される場合が多いが(その場合は、単に履歴書等で何年働いていたと記載すればいい)、オーストラリアの場合は、「実務経験年数」の前に「リーダーとして」「マネージャーとして」という言葉が追加されていることが多い。例えば、単純に新入社員から3年働いた場合には、マネージャーとして働いたわけではないので、「マネージャーとしての経験年数」は3年とはカウントされず0年となる場合もあるということだ。私の場合も、約6年会社で働いていたが、そのうち、3年間マネージャーとして働いたとして申請した。リーダーとして、マネージャーとして、と言われても、何をもってそう言えるのか難しいところだが、簡単に言えば課長など「管理職として」という意味になるようである。正直日本の職場では、入社してすぐに管理職の立場で働くことは難しいが(外資系でもない限りほぼ不可能な気もするが)、業務の内容等を説明する中で管理職「的」な仕事に従事していたと示せれば問題ない。ただし、本当に2年しか勤めていなかった場合、必要実務経験が3年と書かれていた場合には、どう頑張っても残念ながら応募できないので注意が必要である。ともかく、オーストラリアの場合、おおよそこのマネージャーとしての経験が指定される場合が多いので、若い人は特に条件を満たしているかにも気をつけて欲しい。
ポイント5:取得期間がアメリカMBAより短い場合が多い!
オーストラリアMBAとアメリカMBAの最大の違いでもあるのが、実は取得期間である。アメリカでは有名どころではまず決まって2年と考えて良い。一方、オーストラリアMBAの場合は、1年から2年までと様々で、Melbourne Business SchoolやAGSM at UNSW Business Schoolなどの最有力なMBAは実は取得期間が1年である。MGSM, Macquarie Universityは2年であるが、それ以外のところで一番多いのは、1.5年程度である。取得期間が選べれば、個人の家庭事情等に合わせてMBAを取得しやすい。また短期間で取得できれば、授業料の他にも、生活に必要な諸経費が低減でき全体的な費用面で大きな違いが生じる。アメリカとオーストラリアの生活費は、住む場所等によっても大きく異なるので単純比較はできないが、少なくても期間が短い分、生活費等が下げられるのは間違いない。ただし、1年の場合は、それだけ短期間で履修すべき科目などが増えることを意味しているので、負担との兼ね合いをしっかり考慮しておくべきだろう。なお補足であるが、大学のサイト等で示されている履修期間(例えば、2.0年)というのは、あくまでも一般的な履修ペースで試算した場合の期間であって、それよりも早期に履修を終えて卒業できる場合もある。下表にオーストラリアの主なMBA10校の取得期間がまとめられているで参考にしていただきたい。
MBA School | Total Fee (AUD) | Period | Post-MBA salary (USD) | % of increase (%) |
|
---|---|---|---|---|---|
1 | Melbourne Business School | 85,470 | 1 Year | 108,224 | 78.0 (FT 2018) |
2 | AGSM at UNSW Business School | 81,600 | 1 Year | 115,909 | 59.0 (FT 2018) |
3 | UQ Business School, University of Queensland | 57,120 | 1 Year / 2 Years | 111,044 | 17.0 (Eco 2017) |
4 | MGSM, Macquarie University | 80,000 | 2 Year | 106,538 | 90.5 (Eco 2017) |
5 | Griffith Business School, Griffith University | 51,000 | 1.5 Years | - | - |
6 | Queensland University of Technology | 55,350 | 1.5 Years | - | - |
7 | Adelaide Business School, University of Adelaide | 5,7000 | 1.5 Years | - | - |
8 | University of South Australia Business School | 45,000 | 1.5 Years | - | - |
9 | Bond Business School | 54,246 | 1.5 Years | - | - |
10 | Sydney Business School, University of Wollongong | 47,160 | 1.5 Years | 75,257 (QS) | - |
以上、この5つについて最低限知ってからオーストラリアMBAの受験に進んで欲しい。