「思考の整理学」
好き度:小 入手法:買った(中古)
考えるとは何か
この本を読んで、一番良かったのは、
「考える(I think)」の意味を考えなおすきっかけを与えてくれたことだと思う。
例えば、僕らはよく「日本の政治は、○○だと思う」とか、「考える」
というが、どこまでが自分の考えであり、どこからが他人の考えなのかよく分からない。
最近では、ちょと悩むようなことがあっても、とりあえずインターネットで
検索すれば、それらしい意見や「口コミ」を見ることができる。
そうなると、ますます「考える」ことが難しくなる。
どういったプロセスでモノを考え、それが自分のものになるのか、
この本にはそのヒントが書かれている。
例えば、本や新聞を読んで効率よくメモしたり、アイデアを寝かせたり、
実際に寝て忘れることが重要である、みたいだ。
またこの辺りの話は、脳科学の発達によって科学的にも解明されてきていて、
先に紹介した池谷さんなどの本と絡めて考えるとより面白い気がする。
社会人になってからの思考とは
さて、私も社会人になり、「考える」ことがなかなかできない難しさを実感している。
本書でも「第一次的現実」と「第二次的現実」という言葉が出てくるが、
学生時代は、本や論文、理論といった抽象的世界(第二次的現実)でモノを思考したり、
知的活動をして論文等を書いていた。しかし、社会人になると、本や理論に触れられる時間が
極端に減少し、日々の生活や仕事に追われるようになる。第二次的現実で思考する訓練は
高校や大学、大学院までである程度は養われてきたが、第一次的現実、
つまりは、普段の生活や仕事をベースに考える訓練は、ほとんど皆無に等しいことに、
今更ながら気づき始めた。二次的現実は相当の収斂を経ているので、
過去の研究や事実から(新たなことを)考えるにしても、ある程度の方向性と制約条件があり、
考えやすい。本書で言う、「グライダー的思考」でOKである。
一方、一次的現実では、あまりに多くのテーマと無限の自由度があり、何から始めたらいいのか
分からないくらいの状態である。グライダーのように動力がないと、どこに飛んで行ってしまうのか
皆目見当もつかない状態となる。すなわち、「知的でなく、俗物となる」。
そうならないためにも、早く「グライダー」を卒業し、「飛行機」となって、
自ら道を決める能力を身につけなければならないことを実感する。
「学校の勉強ができるだけじゃ意味がない」などとよく言われるが、
結局この違いを早く認識すべきだとアドバイスしてくれているに違いない。
考えるためには
さて、私も早く考えることができる社会人になりたいと思う。
そのためにはまずやろうと思ったのが、新聞のスクラップと、
読んだ後に、それはどういうことかを自分で考える習慣を付けること。
まあ実は、スクラッをとることは会社の教育プログラムで半強制的なのだけど、
それを有効にかつようしてやろう、というだけの試みかな…。
とにかく、そんなことを考えている。社会人のみなさんが
どうやって勉強しているのかも聞いてみよう!!