記憶力を強くする

「記憶力を強くする」
好き度:大  入手法:借りた

記憶とは何か?

僕にとってこの本は「池谷裕二」さんの3冊目となる本。これまでに読んだ2冊はどちらも
最高に面白い本だったんで、今回も読む前から結構期待も高まっていた。でも一方で、
「記憶力を強くする」ってシンプルなタイトルから、今回は軽~い感じの本かなーとも思ってたんだけど、
その予想は大ハズレ。実際には、脳科学の最新の研究から記憶の謎に迫るかなり濃い内容だった。
そう、だから、いきなりこの本を読んだら、むしろちょっと難しいと感じるかもしれない。
それくらい深い本ってことだね。

さて、この文章をここまで読み進めてくれた「あなた」は、当然だけど1つ1つの言葉の意味を
理解してくれているはず。だって、もし分からない単語が登場していたら辞書を引かなきゃ
わかんないもんね。つまり、単語の意味を脳は「記憶」していて、それを基に内容を理解している。
じゃあその「記憶」ってどこに蓄えられているのだろうか? ちょっと考えてみてほしい。
んーやっぱりそれは、「脳の中」かな~。(少なくとも、「胃」とかにはなさそうだもんね…)
では脳のどこにあるのか? こう言われたら本を読む前の僕だったらもうお手上げ。
でも今なら、脳の「海馬」という場所にあると言える。
じゃあ、海馬のどこにあるのか? 海馬もほかの場所と同様、顕微鏡で見れば
細胞(特に神経細胞っていう名前だけど)の集まりでできているはずだから、
海馬の神経細胞が記憶…..???。実は、そうじゃないみたいだ。
少し説明すると、神経細胞同士はつながりあって、電気回路みたいな「神経ネットワーク」というのを
つくっているらしい。そのネットワークが、「記憶している状態」と「記憶していない状態」で違っていて、
その「違い」が記憶の正体みたいなんだ。
つまり、記憶とは、「神経ネットワークのつながり方が変わること」!!
まさにこれが記憶の正体みたいだ。言われてみれば、細胞自体に記憶があるってのも変だから、
その集合体のつながり方が変化しているってのは、何となく理解できる話だ。
ただ、実はこの結論は、それまでに書かれていたことを超~飛ばして書いた結果で、
この結論に行き着くまでだって、面白いお話で満載だから。
ニューロン、錐体細胞、顆粒細胞、短期記憶、長期記憶、シナプス電位、活動電位、
ナトリウムチャネル、スパインだとかもう色々。是非本を見てみてほしい。

記憶力がいい人って、どういうこと?

記憶が「神経ネットワークのつながり方が変わること」であるとしたら、記憶力がいい人というのは、
「つながり方が変わった状態を長時間継続できる人」って言い換えることができそうだ。
ちなみに、このように「変ったままで元の状態に戻らない性質」を、「可塑性」というみたい。
難しい言葉だけど、少し考えてみれば僕たちの世界ではよくあることだよね。
例えば、「あなた」の今使ってるパソコンの横にあるマウスを少し横にずらしたら、
普通元の場所には戻りませんよね。それとか、何かモノを落としてしまったら、
魔法でも使えない限り、やはり前の状態には戻ってきてくれません。えーそれだけのことです。
でも、記憶に関して言えば、神経ネットワークの変化は、元の状態に戻ってしまうことがあり、
それが忘れるってこと…かな。ちょっと僕が自分なりに勝手に理解して書いているところがあるから
怪しいけど、確かそういうことだ。
そして、神経ネットワークをつくるシナプス結合が長時間続く現象を、「LTP」というらしい。
ちなみに、LはLongって略だから分かりやすいよね。(あとのTとPは?ってツッコミは無視して~っと)
そして、LTPがどうやって起きるのか?これこそが「記憶のメカニズム」そのものっぽいよね。
LTPもいまだすべてが解明されていない最先端の研究みたいだけど、もちろんこの本には、
その仕組みもぎっしりと書かれている。ここも面白い。そして、「記憶力を強くする」には、このLTPを
どうにか強く、そしてすばやく起こしてやることが重要みたいなんだ。

LTPのメカニズムを利用しよう

LTPのメカニズムについては、書いてないから分かんないと思うけど、LTPは
神経細胞1つ1つの単位でみれば、機械的で正確な反応(化学反応)である。
うん、じゃあ何で1つ1つの細胞はコンピューターのように正確な動きをしているのに、
僕たちの「記憶力があいまい」なのか?実際、コンピューターとは全く違う「結果」になっている。
だって物忘れはするし、人の名前だって間違えるし、歴史上の出来事の年号なんかも
全然覚えられたためしがない。(あれ、もしかして僕だけ….) そう、そしてこのあたりの話が
とっても面白い。 あ~もっと色々書きたいんだけど長くなっちゃうからまとめよっーと。
人間の記憶が「ネットワーク」というもので作られているから忘れたり勘違いすることは仕方がないこと
なんどけど、この仕組みを知っていれば、どうやって勉強するのが効率的なのか、
最適な記憶の仕方とは、なんてことも「脳の立場にたって」考えてあげられるようになる。
そう、考えてみれば、私たちは「脳」という機械を使って、記憶したり勉強したりしようとしているのに、
そもそも「脳の使い方」を勉強したことがなかった気がする。パソコンで言ったら、
Windowsの使い方とかMacのよなOSの使い方を知らないで、撮ってきた写真を保存する方法を
勉強しようとしているようなもの(?)なのかもしれない。まずは、「脳」というOSの使い方を
よく知った方が、結果的に、早く記憶したり勉強できるのかもしれない。
そんな感想をもったな。

って、色々書いたけど、脳は忘れたり勘違いするものだからね。
つまり、こう書いていることも違ってたり間違ってたり~。
って、言い訳しておいて今回はおしまーい。

投稿者 Yuasa Tomohide

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