「日本の農業は成長産業に変えられる」
好き度:中 入手法:借りた
「日本の農業」を勉強したことがあったか
突然だけど、「日本の農業の特徴は?」とか「日本の農業の最大の問題は?」なんて誰かに聞かれて、
うまく返事できるだろうか。僕もちょと考えてみたんだけど、うー僕の場合はまったくお手上げ状態だ。
そもそも日本の農業政策と言われて今までの学校での勉強で絞り出された記憶といえば、
恥ずかしながら荘園制度とか、墾田永年私財法とか、そんなずーっと昔の農業政策だけ。
今の日本の農業は、確かになんとなく高齢化で活気がなさそうだとか、自給率が低いだとか、
テレビで聞くようなことは言えても、実際どうなのか、全く知らなかったというのが現状だ。
そういう意味では今回、自分では買わない?であろう「農業」の本を読むことができたことは
とても良かった。本当に知らないことばかりで、驚かされることも多かった。そして、
この本を読んで一番感じたのは、農業(とくにお米)のことを知らないままでいると、
大変なことになってしまうかもっていう危機感だ。
なぜ、日本の農業は弱くなってしまったのか
実は、日本の米価格はものすごい高い関税によって海外品から守られている。
しかし、その代償が「ミニマム・アクセス米」である。これは「GATTウルグアイラウンド」の頃に
遡る話みたいだけど、とにかく高い関税を維持する代わりに日本が必ず輸入しなければならない
一定量の輸入米のことだ。つまり日本は高い米価を維持するため多くのお米を、
市場の競争とは別のルートで大量に輸入している。私はこの話をを聞いて、純粋に疑問を持った。
高い米価を維持する目的はなんだろう?私が考えた答えは、きっと農家の人たちの生活は厳しいから、
売るお米の価値を一定程度守り、収入を下げないようにするためだろうと。
んっ、でも収入を確保し上昇させることと、全く正反対の政策が同時に存在している気がしてきた。
それは「減反政策」である。さすがにこれは私も知っている。つまり、「あまり多くお米をつくらせない」
政策だ。いや、仮にどんなに米価が高く維持されていても、
そもそもお米自体を売ることができなかったら…当然利益は増えない。
農家を応援したいのか、足を引っ張っているのか、どっちなんだ!!って思えてきた。
本の言葉でいえば、このことは「誰が考えても整合性を持っているとはいえない」、
日本の農業の大問題だろう。
では、なぜ農林水産省はこの整合性がない政策をやめないのだろうか。そこが、この問題の本質である。
ここからがとても興味深いのであるが、それには「農協」という組織が利益を上げる仕組みと、
農協の組織が、政治と絡んでいることが、結果的にこの問題を複雑化し、
本来の主人公である農家の利益とは無関係な政策が実施されてきたという深い歴史があるようだ。
私はこの本に書かれていることがすべて本当であるか判断できるだけの知識は残念ながらないのだが、
仮に50%だけが真実であっても、今すぐにでも変えなければいけないことが山ほどあると実感した。
そして、こんな根本的な問題を抱えたままで、高齢化だとか後継ぎだとかを考えるのは無理だろう。
まずは、このおかしな現状を打破する必要があるそうだ!
食料自給率って
書きかけです
さて最後に、そんな農業だけど、実は最近まで、「農業は日本にとって必要ない産業」だって
思っていた。ちょっと大げさだけど、実は本当に感じていた。理由を簡単に言うと..。
同じ仕事であれば、労働コストが安い国でやってもらった方がいいという、経済学の基本のような
単純な考えからだけど。でも、この本を通じてこう考えるようになった。
もしかして、今の日本の農業が、「日本にしかできない農業」に変わったらどうだろうか?
つまり、外国では任せられない何か…を産み出せる「農業」に変わったら、もはやその理論は通じない。
そのためには、残念ながら現状の障壁を打破するところからスタートする必要がありそうだけど、
でも一端解放されたら、すごいポテンシャルを抱えた産業になるような、そんな感覚をもったのも事実だ。
「農業」。僕にとって、これから勉強していきたい産業の1つになりそうだ。