「単純な脳、複雑な私」
好き度:大 入手法:買った
池谷裕二さんの本
この前作となる「進化しすぎた脳」は、2009年4月、新学期がはじまったころに読んで、
僕に脳に関する本を読むきっかけ(ブレイク)を作ってくれた本だ。
そして、そんな池谷さんの脳に関する最新作になる本がこの「単純な脳、複雑な私」。
ネットで発見。さっそく読んでみたら、これが、もう前回を越えるくらいに面白い!!
理由はないけど、とにかく面白い。とてもおすすめできる本です。
「自分の考え」は自分が考えたことか?
色々興味深いことが次から次へと書かれていたから、全部は覚えていないんだけど、
とにかく「自分の考え」っていうものの存在が、実はすごい怪しいものであるという印象を受けた。
「考えてから動く」、当然人間はそういう行動をする生き物だと思っていたけど、
時には、「動いてから考える」、「動いた後に、その理由を探して納得」しているらしい。
理由もなく動いた(行動した)状態は、非常に不安定な状態だから、脳はすぐに自分のした行動
になんでもそれらしい理由をつけて、行動を正当化するようになっている、らしいんだ。
じゃあ、そもそもなぜ「動いた」か?それは自分でもよく分かっていないのかもしれないって。
脳の活動源は単なるノイズ
脳の活動はノイズが起源になっているらしい。ノイズってのは、単なる「ゆらぎ」。一見すると、
何の法則も持たないように見えるゆらぎだけど、このゆらぎにちょっとしたルールを
与えてやるだけで、あたかも神秘的な、神にしかできない(と思えるような)複雑な活動を
生み出すことができる。
たとえば、脳はパソコンとかにはできない、創造って活動が可能だとかなんとか。
DNAに書かれているのは、このちょっとしたルールだけ。
どんなルールを与えるかが重要ってわけだ。
さっきの話に戻るけど、ゆらぎは、時間によって変化するし、
その時の環境によっても変わるから、
行動した理由もゆらぎの状態によって変わるのは当然。
結局、ある行動に出た理由は、ゆらぎで決まってしまう。
そして、このゆらぎは自分では操作できない、
つまり「自分で考えた」とは言えないとなってしまう。
まあ、確かこんなようなことが書かれてて、このことが一番記憶に残っているかな。
とにかく、最近では地震さえも予測してしまえる時代だけど、
人が何を考えているのか?この予測はまだまだ難しくて、面白い研究テーマなんだろうね。
分からないのはばらつきではなく、ルール
さて、僕の大学での研究は、脳科学とは全く関係ない分野だけど、この考え方は
意外と役に立っている。たとえば自然現象は、ご存知の通りよく分からないことが多い。
雨の強さや地震の強さなんかはその典型例、だいたいは予測できても、結局は起きてみないとわからない。でも、まず結果にあらかじめばらつきを与えてやったらどうか。
つまり、シミュレーションをやる前にあらかじめノイズを入れておく。すると、結果は当然ばらつく。
それから、出てきた結果に一定のルールを与えてやり、結果を整理する。すると、
結果には一定の法則性を見出すことができたりするんじゃないかって。
自然界の現象が一見「神のみぞ知る」ような複雑な現象のように見えるけど、
複雑にしているのはばらつき、つまりノイズ(風や気圧、木々の成長とか色々)が多く、しかも
時間とともに変化しているからかもしれない。
これをまともに予測することは、今の計算機(パソコンとか)の力だと到底不可能だろう。
でも、隠れたもっとシンプルなルール(法則性)を見出せば、意外と予測できることが多いような気がする。
これはあくまで僕のイメージにすぎないけど、何となくそんなふうに感じている。
んー、本の内容からだいぶ離れちゃったうえに、長くなってすいません。
とにかく、何度も読みたい、おすすめの本です。